連日の猛暑による、職場での熱中症リスクは、年々深刻化しています。令和6年(2024年)における職場での熱中症による死傷者数は1,257人(うち死亡者数は31人)、前年から151人増加し過去最多となりました。特に建設業や製造業では、命にかかわる事故が後を絶ちません。こうした状況を受けて、政府は2025年6月より「熱中症対策の義務化」に踏み切りました。改正労働安全衛生規則では、一定の暑熱環境下で働く事業者に対し、報告体制や応急処置の整備、教育の実施などを求める内容が盛り込まれています。これまで「努力義務」にとどまっていた熱中症対策が、なぜ今「義務化」されるのか。今回は、法改正のポイントと対応策を解説します。